笑み社がブログを立ち上げたようです

2ちゃんねるのVIPでSSコテとして活動中の笑み社 ◆myeDGGRPNQのブログです。基本的に作品保管庫として機能していますが一日一回日記を書きます。

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フグ田タラヲがエンドレスエイトに紛れ込んだそうです

1 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 19:39:12.41 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 ――それは、ある夏の日であった。

 気だるい夏。
 気温、湿度。共に最悪の値。俺の不快度指数は最高レベルにまで高まる夏。
外に出れば暑さで水分を奪われ、気が遠くなるような日。
 しかし、それは外の世界のコトで、冷房の利いた内の世界にいる俺には関係な
し。テレビに映る、もう勝負の見えた試合を続ける野球少年たちはあの灼熱の世界
の中で大人の打算と名誉、そして自分たちにお裾分けされる僅かながらの誇りをか
けて戦っている。別に俺とは縁もゆかりもない県同士の試合ではあるが、判官贔屓と
いうことで、負けているチームを心の中で密かに応援していると、かの御仁からの電話。
「もしも――」
「あんた、今日暇でしょ!? 2時ジャストに全員集合だから!」
 ……無論、俺はなにも言っていない。強いて言うならば、黙ってコイツの言うコトを聞いて
いたということ。――と、電話を持ったまま2秒ほど硬直しているとまたアイツから電話。
「持産物を言い忘れていたわ! 水着一式と、十分なお金ね。あと、必ず自転車に乗っ
てくること! オーバー!?」
 ……無論、今回も何も言っていない。強いて言うならば――否、止めておこう。
 大人しく準備をし、ソファーでジュース片手に寛いでる妹に出かけると一言告げる。
 すると――

「僕も行くでーす!」

 なんて、聞いたことのない声がした。
 8月17日。茹だる様な、『熱い』日だった。

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 19:43:15.80 ID:7cfxVMeFO
!?

3 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 19:45:28.79 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 この子供。妹よりも遥かに小さい。ホントの子供だ。
 年齢は3歳くらい。それなのに、馬鹿みたいな丁寧語を用いるこの子供は自らをタラヲと
名乗った。
 俺が水着一式を持って出かけるのを見て、すぐに自分の水着をどこからともなく用意した。
その表情はまるで自分は『ハジメカラ』此処にいたかのような表情。何の不思議もない。し
かし、俺にしてみればそうではない。見ず知らずの子供を、連れまわすわけにもいかない。
「なあ、妹よ。この子供は――」
「タラちゃん? キョンくんは知らないの?」
 知らない。こんな子供。見たこともない。
「そっか。じゃあ、いってらっしゃいー」
 ――説明。ゼロ。
 妹の見たことのない態度に唖然とする俺を尻目に、タラヲは俺の自転車の荷台に乗り――
「早くしてくださーい!」
 と、吠えた。
 まるで、あの女。
 我が団長、涼宮ハルヒのように――

4 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 19:52:23.80 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 外は、異界だった。 
 気温、摂氏にして33℃。それだけでも茹だる様な暑さだというのに、俺の荷台には
余計なものが乗っかっていた。
「楽しいです~」
 語尾に音符でもつきそうなくらいにご機嫌なタラヲ。もちろん俺にはそのような余力は
ない。語尾にむかつきマークのようなものがつきそうなくらいにイラついている。
 だというのに、それに上乗せするかの如いつもの集合場所にはSOS団のメンバー4名が
いつものように佇んでいた。
「遅いわよキョン! もっとやる気を出しなさい!!」
 段差の最も高いところ。馬鹿と煙。阿呆丸出しの大声でがなり立てるは何を隠そう我らの
団長、涼宮ハルヒである。この女。容姿は反則級だというのに、その電波っぷりで俺を、否。
俺たちを毎回のように振り回すのである。半分が自覚あり。半分は無自覚で。どちらかという
と、無自覚の厄介事の方が厄介だ。
 自転車を所定の位置に駐車し、皆の待っている場所へと歩き出す。タラヲを下ろすのも厭に
なる。
「……可愛い子がいっぱいです……」
 蚊のような呟き。
 それを、聞き逃すのは容易であったのに俺の耳朶はそうさせてはくれなかった。

5 :虹子 ◆LoveNijiko :2009/08/07(金) 19:57:57.16 株 ID:nYC3RByEP ?DIA(207457) 株優プチ(life)

おー?
初遭遇だわー

6 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 20:01:15.48 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

「団長を待たせるなんて、アンタ何様のつもり? ペナルティーよ! 10グリッド降格!」
 この暑いのに、飽きもせずに騒ぎまくる団長。ハルヒはこれまた暑いのにも関わらず
走って俺の元まで駆け寄る。それに倣って近づいてくるのはSOS団の団員して涼宮
ハルヒの監視者である。
「俺、ちゃんと15分前に来たのに……」
 そう、時刻は現在13時45分に30秒のドラが乗った状態。決して遅刻ではない。も
しかすると、団長こと暫定神様は俺が遅刻するというギアスじみたものをかけているの
かもしれない。
「あら? 今日はタラちゃんも一緒? キョン! いつもいつも言ってるでしょう? SOS
団は子守の場じゃないのよ」
「――え?」
 今、ハルヒはなんと言った?
 いつも? 子守? 今日は?
 嘘だ嘘だ。そんな筈はない。俺はこんな子供知らない。
「泳ぐです~」
 俺の錯乱を余所にはしゃぐ子供。タラヲ。先刻見せた漆黒の意志。あれは一体何だ?
どうして俺は、この子供の相手をいつもしているかのように扱われているんだ――?
「まあいいわ。全員揃ったことだし、そろそろ出発するわよ! 古泉くん。みくるちゃんを
乗せてあげなさい。私と有希はキョンの自転車に乗るから」
「……は?」
 今度は別の驚愕。
 と、すると――俺はつまるところ――

「行くで~す!」
「…………」
「さあキョン! 古泉くんに負けちゃダメよ!」

 という感じで、3人という重り(バラスト)をのせたハンデ戦ということになるのである。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 20:12:33.93 ID:/fV79lIjO
お。えみしゃ支援

8 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 20:13:52.36 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 ――到着したのは市民プール。
 大人150円。子供100円と、某希望の船とは違う形の、大変リーズナブルな価格
で水浴びが楽しめるという、我々一般市民の夏の風物詩である。小学生のころは国
木田たちと一緒に来たこともある。あの時は爽やかな気持ちで入水できたのだが――

「あ、――ああ。ああ、あああ、あ。あ。……あ」
 俺という機械は、筋肉の螺子が生み出す螺旋の許容量を僅か数分で遥かに超え。
辛いという限界を弾き飛ばす。現実こそ虚無。虚無こそ現実。抗う時間。重ねていく記
憶。自らの肉体。自らの愛機。それら総ての限界をさらに超え。その超越限界すらも
跳ね飛ばす無数の記号。
 ゼロに。イチへ。そしてゼロへ。コンマにも満たない一瞬が俺という器を満たしていき、
桃源郷にも似た感覚を再現する。まるで麻薬。塩を師と崇め、語録を聖書とす。引き出
された脳内麻薬は我が肉体の貯金をまるでジャンクポットのように溢れさせる。是非もな
い。生という願望を、死という甘美なる響きで以て超越する。そこに、一切の妥協もなくば
油断もない。はたまた、情けすらもない。なにもない。虚無。それが現実。現実が虚無。
 巡る。巡る。巡る。一回転では治まらない。眠気を覚えるまでの錯覚。既視感。前にも
こういったことがあったのでは、という勘違い。自己の終焉。見つめるのは自己ではない。

「いつまでもへばってないで、さっさと行くわよ。キョン」

 声が、俺を真の現実へと引き戻した。
 後ろを振り返ると、汗まみれの古泉がいた。

9 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 20:26:20.32 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

「んー! この消毒の香り! 行くわよみくるちゃん、有希!」
「ふ、ふえええええええええええ!!!!!!!」
「……?」

 波打つ水面。
 人間三人。否、人間二人。宇宙人一人の体重を受けた水が変形し、跳ねる
水滴としてプールサイドを濡らす。市民プールという常識を超えた飛び込みである。
「あちこちに書いてある飛び込み禁止という文字が読めんのか。まったく」
「でも、微笑ましいです。涼宮さんも、結構常識的な楽しみ方を身につけてきたとは
思いませんか?」
「是非も聞かず、突然呼び出すのが、常識的とでも言えるのか?」
 古泉はいつもの微笑み、というよりもほくそ笑みを俺に向ける。超能力者であり、
涼宮ハルヒを神と称するもの。そして、その神の機嫌によって命の危険に晒される者。
「それくらい、僕にとってしてみれば、ね」
「……そうか」
 遠くでタラヲが女子小学生をレイプしている。それだって、別にかまわない。
 古泉はゆらゆらと揺れる水面を眺めながら、少し神妙な顔をする。こいつがこういう顔を
する時にする話題なんて一つしかない。
「……? 心配いりません。あの合宿以来。特に際立ったことは起きてません。
 今のように、楽しげに笑う涼宮さんはこの世の平和を乱すことはしないと思いますからね」
 ――あの合宿。
 ハルヒの退屈を紛らわすために催された機関主催の探偵ごっこ。言いかえればサスペンス
ごっこから、なにも起きていない。
 安心なんてしていない。 
 ただ、心配だったのだろう。
「キョン! 古泉くん! そろそろご飯にしましょう! みくるちゃんのサンドイッチ弁当よ!」
 プールから上がるや否やハルヒは俺たちにこう持ちかけてきた。
 ――歓喜。朝比奈さんの弁当を食せるだけで、今日来た甲斐があるというモノだ――!

10 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 20:36:02.76 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 食事中、なにも妙なコトはなかった。
 ただタラヲが俺の分のサンドイッチを喰らい、キレそうになった俺を見るとすぐに朝比奈さん
の豊満な体に泣きついたこと。
 タラヲが長門の分の唐揚げを喰らい、長門が情報操作を行おうとしたこと。
 タラヲがハルヒの、一般的には豊満な胸の膨らみをワザとらしく『おまんじゅうですー』とほざ
きながら鷲掴みにしたこと。(このあと、タラヲは俺の所為にし、俺は3分間意識なしの状態で
プールに浮いていた)

 ――気がつくと、ハルヒと朝比奈さんはプールで小学生に交じってボール遊びをしていた。
俺はなんとかプールサイドに上がり、古泉の隣で下らない雑談を交わす。
 と、ふと目に入った。
「…………」
 木陰で静かに俯き、座っている長門の姿が。
 彼女は人間ではない。対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイス、とかいう
宇宙からハルヒを観察するためにやってきた。所謂宇宙製のアンドロイドだ。いつも静かだが、
今は、何故か妙に――
「紹介するわ! これが私の団員よ。なんでも言うコト聞くからどんどん言っちゃいなさい!」
 ハルヒが二人の女子小学生(一人は先刻タラヲがレイプしていた子)に俺たちを紹介する。
 ――なにか、おかしい。
 なにがおかしいのかもわからない。
 でも、なにかが、狂っている――。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 20:36:48.16 ID:/fV79lIjO
タラヲ支援

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 20:45:00.29 ID:WFESA0ALO
タラヲ死ね

13 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 20:52:22.81 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 場所を変えて、いつもの喫茶店。
 ハルヒは迷わずにSOS団御用達の席に着席し、無地の紙にペンを走らせた。
 注文するのはアイスコーヒー。どうせ俺が奢るはめになるのだからもっと安いモノを
注文し欲しいのだが、タラヲはなんという暴挙。食えもしないだろう『ダイナミックグレート
アルティメットスーパースペシャル穴子パフェ、3500円』を注文した。無論、いつもの
腹が立つくらいの笑顔でだ。
 ……それだっておかしい。なぜ俺はタラヲの笑顔を『いつもどおり』と認識したのか。タラ
ヲの存在をノーマルな状態だと認識し始めている。
 ――頭を掻く。爪を立てたことで、汗ばんだ頭皮に若干の痛みが残る。
 わからない。タラヲが、どうしてここにいるのかが――。

14 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 20:54:03.11 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

「ねえ、活動計画を立ててみたんだけど……」
 ハルヒは紙をテーブルの中央に置く。月のように綺麗な字が羅列した紙を5人で
見る。
 夏期合宿。プールには×マーク。これは済みという意味だろう。
 その下には盆踊り、花火。バイト。バッティング練習。昆虫採集、肝試し、釣り、ビー
チバレー。それに、天体観測と書いてあった。
「まさか、これをやるのか? あと二週間足らずで」
「そうよ! 一度しかない高一の夏休みでこれを全部やるの。
 今まではぐずぐずしてたから、これからは巻きで行くわよ!」 
「色々ありますねえ……」
「他にも、なにかやりたいことある?」
「あ、じゃあ私は金魚すくいがいいですぅ」
 弱弱しい声で、しかし楽しげな声で朝比奈さんが意見する。いつもハルヒの
言いなりなこの人が意見をするなんて珍しい。ハルヒは嬉々とした表情で紙に
金魚すくい、と追加する。
「よし! 明日から決行よ! この近くで、盆踊りやってるところあるかしら」
 ハルヒの視線が、便利屋さんである古泉に向けられる。古泉はフム、と一度
唸って――
「分かりました。僕が調べておきましょう。涼宮さんにはおって連絡します」
「金魚すくいは忘れないでよ。みくるちゃんたっての希望なんだから!」
 わかりました、と敬礼をひとつ。
 これで、夏休みの過密スケジュールが確定した。コイツがやりたいというのだ
から、これからは自分の時間なんてないのだろう。

「これ、美味しくないでーす」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 20:55:51.36 ID:Eo+pN/bb0
こんなことばっか考えてるんだなぁ

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 20:56:32.48 ID:9EzBFrUyO
笑み社昔叩かれてたな

17 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 20:59:56.78 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 翌朝。俺から惰眠を奪ったのはハルヒからの電話と――

「まだ生きてぇ! 鈍り狂い痙攣! 恐れ苦しさ――!」

 という、タラヲの人智を超えた歌声だった。

 ハルヒの用件。盆踊り会場が見つかった。場所は今夜、市民運動場。

 よくもまあ、こんなにも簡単に見つけられるものである。
 自転車で今日もいつもの集合場所へと急ぐ。どうやら浴衣を買いに行くらしい。
 朝比奈さんの浴衣。想像するだけで女神。圧倒的至福っ………。
 
 無論、タラヲも付いてきたことは言うまでもない。
 別に俺はなにも言っていないし言いたくもない。
 ただ、厭だった。妹があの生物と一緒にいることが。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:02:31.91 ID:T8x2xEyJO
支援

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:07:36.88 ID:nYTy79bv0
規制とけてた(´・ω・`)

20 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 21:08:05.64 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 ハルヒは俺たちを駅前のデパートに連れてきた。浴衣コーナーは流石季節柄。
彩豊かな浴衣が、思いのほか安価で販売されていた。
 青、赤、黄色に白。涼しげな夏と灼熱の夏。それらを表現した、俺の目にしてみ
れば上等な柄の浴衣が常識はずれの安価である。価格にすると200円。恐ろし
い額である。どう考えてもハルヒパワーが働いている。
 ハルヒはそんな俺の驚きなんて無視。朝比奈さんと長門の分も勝手に選んで、
否。これはコーディネートというのだろう。悔しいが、アイツの美的センスは多少は
ズレていても、こういったことに関しては素晴らしい。

「着替えです~」
 
 試着室に向かう女性陣の後ろをさも当たり前のようについていくタラヲ。浴衣の下
には下着をつけない、というスタイルを利用したかのような自然さ。今までコイツが
行ってきた変態行為でもトップクラスの流麗さ。完ぺきと言わざるを得ない。
 だが、赦すわけにはいかない。
「おいこら。どこに行くつもりだ?」
「――」
 なにも言わない。
 コイツ。関門を無視していこうというのか――!

「おい――!」
「うっさいわねえ。ほらタラちゃん。こんな怖いお兄さんよりも優しいお姉さんの
とこ行こうね」

 ――え?
 なにを、言っているんだ? ハルヒ。

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:13:21.56 ID:nYTy79bv0
(´・ω・`)

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:15:26.46 ID:/fV79lIjO
支援だ。

23 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 21:19:09.91 ID:tV7iIGJP0 ?2BP(2000)

 待つこと、一時間。
 浴衣コーナー前に二人の男。古泉は※故に疎まれることもないが俺はそうではない。
 否、女性客の視線よりも――

「なあ、古泉。タラヲのことなんだが」

 話してみることにした。
 なんだかんだいっても、男同士なのかなんなのか。トラブルが起きた際、最も相談
しやすい相手が疎ましくも古泉なのだ。解決の切り札が長門なら、古泉はさながら
平和的解決の支持者であろう。力づくよりも、理論的にいったほうが穏便だからだ。
「……やはり、貴方も気が付いていましたか。
 あの子供は――」
「キョン!」
 背後から声。
 振り返ると、絶世の美女が三人。浴衣を着た女性陣が立っていた。
「――!」
 朝比奈さんはピンクを基調とした可愛らしい浴衣。淡い紫の帯がアクセントとなって
子供っぽさは感じない。
 長門は水色と青の涼しげな形。SOS団専属の無口キャラというだけあってハルヒの
コーディネートも的を射ている。
 肝心のハルヒ本人も、これまた反則なまでに浴衣が似合っていた。赤と白の明るいカラー
がハルヒの性格を体言化し、濃い紫の帯が赤をさらに引き立てる。
 ……今は言ってやろう。グッジョブ! ハルヒ!

 店の真ん中で帯とかんざしを振り回すタラヲ見て、俺と古泉はアイコンタクトをとる。

「あの子供の話はまたあとで――」
「……ああ」

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:23:49.84 ID:nYTy79bv0
(´・ω・`)

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:26:43.48 ID:nYTy79bv0
(´・ω・`)ゞ

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:30:45.86 ID:WFESA0ALO
紫煙

27 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 21:33:02.13 ID:WsI7OK010 ?2BP(2000)

 そうして、夜。
 盆踊り会場では、親子連れ、カップル(氏ね)。友達同士という様々な人間模様が
描かれていた。
 射的で5発の弾を以て108の景品を奪った通称『必殺』と呼ばれる少年が場を盛
り上げていたり、妙なテントの中で麻雀を打っている顎や鼻のデッサンが明らかにお
かしい人間が場を盛り下げていたり、と様々である。
 それに最も目を輝かせていたのが朝比奈さん。未来人である彼女は、この時代の
文化に対して興味を強く持っており、それが今叶い、喜びの表情を浮かべている。
「あ! 金魚すくいもあるわよ! じゃんじゃん掬いましょう!」
 ハルヒは、そんな朝比奈さんの手を取り走り出す。
 こうして見ると、まるで姉妹だ。年齢では朝比奈さんの方が上だというのに。
「じゃあ僕は向こうに行ってくるです。キョンお兄ちゃん、お金をくださいでーす」
 ここで渋るのは得策ではない。古泉、ひいては長門にタラヲの話をしたい俺はタラ
ヲに遊ぶ金を幾ばくかだが渡す。舌打ちを一つ鳴らし、タラヲはお好み焼きの屋台へ
と走っていく。

「それで、古泉。お前はなにかを知っているのか?」

 古泉と長門に、タラヲの話を持ち出した。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:41:15.01 ID:nYTy79bv0
(`・ω・´)

29 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 21:41:24.12 ID:WsI7OK010 ?2BP(2000)

「フグ田タラヲ。確かにあの子はそう名乗りましたね。
 僕が思うに、あの子は涼宮さんの願望ではないのかと思われます」

 ――願望。
 それは、ハルヒの神の力。願望実現能力を駆使した造り物ということか?

「いいえ。それは違います。それならば、あの子はフグ田タラヲとは名乗りません」

 何故だ。

「簡単なことです。フグ田タラヲは、もともと存在しているのですからね。
 芸能人に会いたい、という願望が涼宮さんに在ったとして、その芸能人。喩えるなら押尾学
を新たに作り出せますかね。それはかなり強引な世界の修正。僕たちは祭りどころではあり
ません」

 そうなると、タラヲは――

「はい。なにか目的があって涼宮さんの願望実現能力を利用したと考えられます。
 なんらかの過程で、涼宮さんに『フグ田タラヲの世話をしたい!』と強烈に思わせたのでしょう」

 ……フグ田タラヲの正体。
 それは――実在する悪鬼。現存する餓鬼である。
 そう、古泉は言った。

 ――俺たちが真面目な話をしている間。長門はウルトラマンのお面を購入していた。
 価格、800円。お祭り価格である。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:41:40.01 ID:/fV79lIjO


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:47:21.97 ID:PP2Gh7cr0
タラヲ、はやくみくるをレイプしろ

32 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 21:49:52.17 ID:WsI7OK010 ?2BP(2000)

 その後。俺たちはタラヲ抜きで遊んだ。
 
 林檎飴。
 ハイパーヨーヨー釣り。
 綿あめ。
 景品のない射的。
 ダーツ。
 Eカード。

 金のある祭りというものは楽しいもので、俺たちはタラヲの存在を忘れて思う存分
遊んだ。道中、ハルヒのタコ焼きが俺の顔面、ひいては目に直撃し眼球を火傷する
という大変稀有な怪我をしたが(長門に治してもらった)大方は楽しかった。
「キョンくん。これ、なんですか?」
 朝比奈さんが先刻釣ったハイパーヨーヨーを眺める。
 流行ったのは、もう10年くらい前だろうか。ボンボン派だった俺はこんなものよりも
ガンダムやヘロヘロくんに魅了されたクチだ。
「ちょっと、貸してください」
 古泉が横からヨーヨーを手に取る。ストリングスを中指に嵌め、手首を軽く曲げたり
伸ばしたりしてみる。朝比奈さんやハルヒにはちょっと離れてろと言っておく。どう見て
もなにかやりそうだ。
 空回りしたヨーヨーのストレングス、つまるところ糸をまるであやとりのように紡ぎ、形
を作る。その形はまるで蜘蛛。完成したのか、その糸を顔の横へと持っていき――

「ストリングスプレイ――スパイダーベイビー!」

 ものっそいい顔で、技名を叫んだ。

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:52:39.11 ID:/fV79lIjO
中村名人支援

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 21:55:43.28 ID:xRqZOZOKO
中村名人のあの笑顔は忘れられない

35 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 22:00:17.75 ID:WsI7OK010 ?2BP(2000)

「すごいすごい! 古泉くんは超能力者なの!?」
 ハルヒが古泉に駆け寄る。その目はまるで子供のような純粋さ。
 ちなみに、古泉は超能力者ではあるのだが些か能力は違う。こんな紐で
あやとりする超能力では決してない。
「んふっ。それでは、もう一つのヨーヨーを用いてもう少しだけ――」
 
 ――それからの古泉は気持ち悪いくらい輝いていた。
 いつもの爽やかにやけスマイルを振りまき、ダブルループやムーンサルト。
俺には理解できないような超絶秘技を連発する。時折右手を庇うかのような
フリを見せるがボンボン派には果たしてなんのネタかもわからない。道行く高
校生や大学生。所謂俺たちの世代の人間は皆足を止めて古泉の変態技に
魅入っている。コロコロ派が与党というのは知っていたが、まさかこれほどとは
思わず、少しうろたえる。
 男は間違いなく、かつて自分たちを虜にしたテクニックに魅かれ、女は古泉の
※っぷりに足を止めている。男たちは古泉がループを決める度に――
「アイ! アイ! アイイイイイイイィィィィィィィィ!!!」
 という掛け声をあげる。その様は異界。その異界の中に、俺は見た。
「ふ、ふええ、やめてくだしゃあああああい!」
 あのツーブロックのクソ餓鬼が、我が麗しの朝比奈さんを――している様を。

36 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 22:04:39.07 ID:WsI7OK010 ?2BP(2000)

 駄目だ。
 それは、禁忌に触れる。
 右手が伸び、脚が進んだ。
 右手はタラヲの頭部をクリーンヒットし、右足はタラヲの腹部を蹴り抜く。コンマ一秒以内
の行為。躊躇いもなければ罪悪感もない。あの餓鬼は、超えてはならない一線を――
「――え」
 超えた――。
 そう。超えたのだ。
 ならば裁く。俺が裁く。裁判員制度が施行されたのだ。俺が裁いたっていいじゃないか。
 なのに、俺に眠気が襲う。
 記憶が、飛ぶ。
 留めたいのに、この餓鬼を――××したいのに――。


「キョン! ロケット花火。準備はいい?」

 どうして俺は、花火をしているのだろうか。
 理由なんて、忘れてしまった。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 22:07:24.04 ID:PP2Gh7cr0
支援

38 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 22:14:08.50 ID:WsI7OK010 ?2BP(2000)

 ――そうだ。
 今は夏。夏休みだ。
 となると、アレがある。全学生を苦しめる、地獄ともいえるアレが。
「ところでハルヒ。夏休みの宿題は終わってるのか?」
 そう。宿題だ。
 どんなにしても避けられぬ強敵。如何なる強者でも、その辛さを知らなくてはならな
い。それが夏休みの宿題なのである。
「なにキョン。あんなの、三日もあれば終わるじゃない」
「三日!?」
「あんな面倒なものはちゃっちゃと終わらせて、なんの憂いもなく遊び倒すのよ!」
「――」
 やれやれだ。どうしたって、こんな奴の頭がいいんだ。神様による人間の能力
パロメーターの配置は、随分テキトーなんだな。
 
 線香花火がはらりと落ちる。
 赤い、熱い火が冷たい地面にはらりと落ちる。
 すっぽり抜けた記憶なんてどうでもいい。

 タラヲが花火8刀流を敢行する。
 古泉は、その姿を真剣なまなざしで見つめていた。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 22:14:40.09 ID:RhpLot5J0
うわつまんね

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 22:16:56.40 ID:nYTy79bv0
(´;ω;`)

41 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 22:28:20.23 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

 次の日。
 俺達SOS団とフグ田タラヲは学校の裏山に集合した。
 持参物。網と虫かご。そう、今日はSOS団対抗蝉取り合戦である。

「さあ! 今日は捕るわよー! 一番蝉を捕った人には一日団長の権利を譲ってあげる!」

 という、ハルヒの気前のいい。そしていらない権利の宣言と共に蝉取り合戦は始まった。
 まるでダンスを踊るかのように網を振い、それなりの数の蝉を獲得していく古泉。いつも神人
と戦ってるわけだから、本気を出せば物凄い勢いでとれるのだろう。身体能力は問題ではない。
ようするに目が重要なのだから。
 長門はというと、これまた長門らしい。静かに、まるで石か何かのような錯覚を覚えるまでに
静かに蝉に対して網を被せていく。蝉以外のモノ(ヘラクレスオオカブトなど)を獲得しようとす
るが、長門も虫取りをルールを守って行っている。
 朝比奈さんは――だめだ。蝉を捕える側だというのに、むしろ蝉に追い詰められている。可愛い
反面、少し可哀想になってくる。あの要領の悪さ。それでも、朝比奈さんがひゃいっ! という掛
け声と共に振るわれた網はふわりと蝉に被さり、朝比奈さんは見事、一匹をゲットしたのだった。
 ハルヒは……完璧である。とり付かれたかのような網の振り具合。蝉の集まる場所の確認。それ
らはまるでハンターのモノ。網を振れば一匹はゲットできる。そんな勢い。剛運なのか実力なのか。
 
 そして、タラヲは最低だった。
 木への暴力。ひたすらに、悪戯に枝をへし折り、振り回す。蝉への虐待。否、虐殺ともとれる捕獲。
 ただ、殺すだけ。
 ただ、遊ぶだけ。
 そこに子供の無邪気さはなく。邪気と漆黒の意志による行動だった。

 それでも、声が出ない。
 注意も、叱責もできない。
 ただ立ち尽くすだけ。俺には、なにもできない。
 なにも、できない。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 22:29:16.81 ID:nYTy79bv0
 ○○○
○ ・ω・ ○ がおー
 ○○○
c(_uuノ

      ○。○
 ミ ハックシュ ○  o ○
`ミ`д´∵゚。o ○
c(_uuノ ○○ ○


  ∧∧
 ( ・ω・)  ○○○
c(_uuノ ○○ ○○○


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 22:36:36.62 ID:nYTy79bv0
ヾ(o゚ω゚o)ノ゙ プニプニ!プニプニ!

44 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 22:39:05.91 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

「結果発表――――!!!!」

 夕方。
 日も沈みかけた午後6時。ようやくハルヒは蝉取りを終了した。
 各々、虫かごを皆に見せる。ハルヒも嬉々として皆に大量の蝉を見せる。誇らしげで、
それでいて年相応の少女の表情。こうしていると、ハルヒは活発な、可愛い女の子なの
である。

「みくるちゃん、一匹!
 有希、六匹!
 古泉くん、七匹!
 キョン、九匹!
 タラちゃん、0匹!」

「もっと頑張ればよかったです~」

45 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 22:40:22.50 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

 ウソダ。
 お前は、本来ならば32匹の蝉を捕獲していたはずだ。
 生きてすらいれば。死んでいる。死んだ蝉をカウントすれば、お前はトップだ。ダントツ、
圧倒的な大差で勝利していたはずだ。
 なのに、虫かごには蝉はいない。当然だ。
 タラヲは惨殺したんだ。蝉を――
 
 ある蝉は足をもぎ取り。
 ある蝉は羽を毟り。
 ある蝉は潰し。
 ある蝉は水辺に沈めて窒息。
 ある蝉は安全ピンで刺殺。
 ある蝉はサンドイッチ状に圧殺。

 それらの行為を、タラヲは一度もダブることなく。32回も違う殺害方法で、蝉を殺したのだ。

 ――ああ。
 それが、それなのに――。

「ハルヒお姉ちゃんはもふもふです~」

 なんて、汚い笑顔で嗤っているんだ――!

46 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 22:46:41.09 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

 そして、そのまた翌日。

 ハルヒはどういう経緯でこぎつけたのか知らないが、とにかく見つけてきたバイトを、
在り難いことに、俺たちにあっせんしてくれた。
 カエルの着ぐるみ。見たところではとても愛くるしいが、これが俺たちの枷。言ってし
まえば地獄製造機なのである。
 ハルヒとタラヲは雇い主、ボスであるスーパーの主人となにやら話をしている。タラヲは
会話には参加せず、ハルヒの健康的な生足に頬をすり寄せるのみ。時折舐めている。タ
ラヲのことについて、今は考えられる状況ではないのだがやはり頭のどこかでは考えてし
まう。昨日の暴挙を。
「あの子どもの行動は、我々も監視しています。今は、堪えてください……」
 古泉の、唇を噛んだような声。
 カエルの着ぐるみを着ているので表情は見えないが、明らかに古泉も感づいている。タ
ラヲの邪悪さを。
 風船を配る作業が続く。
 気温、30℃。着ぐるみパワーで体感温度は50度を超える。これではまるでF1ドライバ
ーだ。

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 22:46:57.88 ID:+mj1/PHR0
よっこらせ

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 22:47:47.72 ID:/fV79lIjO
支援

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 22:50:26.76 ID:/fV79lIjO
タラヲしね

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:00:00.93 ID:8bi6pY7K0
ふむ

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:00:32.08 ID:PP2Gh7cr0
タラヲしっかりしろよ!
早くみくるを妊娠させるんだ

52 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:08:45.46 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

 約束の時間が終了し、スタッフルームで俺たちを束縛してきたカエル(枷)を解き放つ。汗
は冷房のきいた部屋で一気に冷やされ、さながら湯気のように思わせる。
「脱皮した蛇の気持ちが分かるぜ……」
「はは、それは上手い喩えです……」
「ふええ…………」
 朝比奈さんのTシャツが汗で透ける――なんていうことにはならず。ガードが固いのか偶然か、
俺が座っている位置からでは朝比奈さんの胸元は覗けず。ここでも邪魔をするか。カエル!
 だが、不思議と既視感が沸いた。
 前にも、こんなようなことをしたような――否。そんな筈がない。よくある話だ。デジャブなんて、
とかぶりを振る。汗の水滴が飛び、事務用机をぽたりと濡らすと扉が開いた。
「みんなー! おつかれさまー」
「さまですー」
 アイスを持った二人。
 言うまでもなく、ハルヒとタラヲである。なんだこの待遇の違いは。
「おっちゃんも喜んでたわよー」
「ですー」
「おっちゃんの感謝などいらん。バイト代は?」
 そう。俺たちが黙って働く理由。それは偏に見返りだ。
 古泉、長門。それに朝比奈さんは違う理由で動いているのだろうが、俺は違う。金が
欲しい。ああっ、それにしても金が欲しいっ……。そんな状況なのだ。大体、毎回毎回喫
茶店で奢らされては金欠になるのも当然。俺は一般的な男子高校生なのだから。

53 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:10:06.95 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

「これよ」

 ハルヒが手に持ったモノ。
 それは、先刻まで朝比奈さんが着ていたカエルだ。
 まさか――え?
「これ、おっちゃんがみくるちゃんに免じてくれるって。みくるちゃん、これいつでも着
ていいわよ。私が許すわ!」
 ――マジで?

「くんかくんかくんかスーハースーハー!
 有希お姉ちゃんとみくるお姉ちゃんの匂いがするでーす!!」

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:14:22.49 ID:LSBQI/x7O
ttp://up4.pandoravote.net/img/panflash016028.jpg

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:16:27.18 ID:nYTy79bv0
(*・ω・*)

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:21:43.19 ID:WFESA0ALO
紫煙

57 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:23:11.86 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

 プール。盆踊り、花火。虫取りにバイト。
 その次にハルヒが決行したのは、天体観測だった。
 場所は長門のマンション屋上。かの有名は不良はキレてしまうと屋上へ向かったと
いうが、それがどこまでが本当かはわからない。
 天体望遠鏡は古泉が持参。中々本格的な作りで、これだけでも天体観測の雰囲気
が盛り上がった。
「へえ、これがこの時代の望遠鏡ですか。ケプラーの時代とそんなに違わないんだー」
 朝比奈さんが感嘆する。
 ……というか、ケプラーは1500年代終期の人間である。無論、今は2000年代。断じて
同じではない。
「ずいぶんなモノを持ってるんだな」
「そうですか。天体観測は、小学生のころの趣味でしたので」
 随分とリッチな趣味だ。
 俺の小学生のころの趣味と言えば遊戯王カードだったのだが、その辺が俺と古泉の育ち
の違いなのだろうか。

58 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:25:13.73 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

「ん。見えましたよ。火星」
 古泉がハルヒに向かって言うと、ハルヒはおもむろに望遠鏡を覗きこむ。心底つまらない
といった雰囲気。火星をおぼろげに見たのでは感慨も何もない、というのがコイツだからだ。
「いないのかしら」
「なにがだ」
「火星人よ。きっと友好的な連中よ。人類が火星に降り立ったら歓迎してくれるに違いないわ
よ。火星へようこそ、って」
「……そっか」
 なるほど。優しい考えだ。
 お前が本気で考えると実現してしまう。それ故に、あまり本気になってほしくないが、とても
優しい考えだ。やさぐれた人間には絶対にできない想像だよ。
 ハルヒは望遠鏡を自らの手で動かし、UFOを探しだしたのはそれから10秒後の話。

 タラヲは、長門の読書をただひたすらに邪魔していた。
 全裸で。

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:29:44.76 ID:d/0FT/cO0
http://ch2.chaberi.com/chat/blue2/43

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:31:38.20 ID:QZoKx1LZO
支援

61 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:32:28.28 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

夏休みはまだまだ続く!

 次にハルヒが言い出したのは――

「バッティング練習よ!!!!」

 場所は近所のバッティングセンター。
 そういえば中学の時、バッティングセンターを『バッセ』と呼んでいた奴がいた。たいがい、
そういう奴ほど運動音痴だったりする。フライも取れない鈍くさいやつだったりするのだ。
 ……しかし、俺は違う。

 シンクロステップ、テイクバック、ムーブ、トップ。インパクト。

 その瞬間。体は一本の螺子になる。 
 相手が何であろうと一切を打ち砕く。
 人体の摂理に倣う、腰と肩の旋回運動。
 最小限に負荷を抑えたスイングは0の隙間に加速する。
 40メートルもの秒速で7センチの白球を捉える末端。
 積み重ねた10分の時間は、わずか1秒のバッティングに燃え尽きる。
 打つことのみに特化した肉体が、己が証明に歓喜する。

 そうして俺は――

 ネットのぼすんという音を聞いた。

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:40:13.92 ID:Sfmrvflx0
age

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:45:27.10 ID:nYTy79bv0
(´・ω・`)

64 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:46:10.87 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

 まあ、そんなこんなでハルヒの暴走ともいえる夏休みの消化態勢は続く!

 本物の花火大会にも行った。
 朝比奈さんが綺麗だった。
 ――タラヲは、綿あめの棒を人の喉に差し込んだ――

 また別の日には、県境で行われているハゼ釣りにも参加させられた。
 ハルヒがアホみたいに釣り上げた。
 ――タラヲは、人が釣ったハゼを殺した――

 無論、まだ続く。定番とは言われているが、ホントにやる奴はいないであろう。
 そう、お化け屋敷にも行った。長門の無表情が、俺には怖い。
 ――タラヲは、暗がりに紛れて拉致した女性をレイプした。

65 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:47:22.40 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

 宣伝ばかりは大掛かり、しかし蓋を開ければ……なB級映画も見に行った。
 古泉ですらも爆睡するつまらなさである。
 ――タラヲは、眠っている朝比奈さんをレイプしようとした。

 シーズンオフ真っ盛り! クラゲだらけの海岸で海水浴もした。
 俺は刺された。スイーツ(笑)
 ――タラヲは、治療と嘘をついて一般の幼い少女をレイプした。

 全員ストライク出すまで帰れま10もした。
 全員、満身創痍だった(長門を除く)
 ――タラヲは、ボウリングのたまをつかって赤ん坊を殺した。

 のどの限界に挑戦するような耐久カラオケもした。
 店員が若干どころかかなり引いていた。
 ――タラヲは、カップルの部屋に押し入って女性をレイプした。

 そう、俺たちは走りきったのだ。
 夏休みという、100メートルのペースで走るフルマラソンを――

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:48:00.53 ID:RshPg5wwO
早く厨二病エロゲの原稿書けよ

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/07(金) 23:49:19.02 ID:PP2Gh7cr0
私怨

68 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:52:43.88 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

「今日、8月30日を以て、全ての過程が終了したわね」

 いつもの喫茶店。
 最後の課題である野鳥観察を終え、俺たちは安堵の表情を浮かべていた。
 ――ようやく終わる。
 楽しかった夏休みだが、その代償として半端ではないハードさも存在した夏休み。
 それが、ようやく終わるのだ。
「……これで、よかったのかしら。
 ねえ、みんなはなにかやりのこしたことってある?」
 無論、皆が首を横に振る。
 あるはずがない。今、俺の隣には悪鬼が眠っているが故にない。注文もなければ
なにもない。俺は早く帰りたいという一心でそわそわしていた。
 ハルヒが伝票を俺に渡す。
「じゃあ今日はおしまい。
 明日は予備日に空けておいたけど、そのまま休みにしちゃっていいわ」
 自動ドアが開き、SOS団は全員俺の前から姿を消した。
 あの悪鬼を除いて、だが。

69 :笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2009/08/07(金) 23:56:10.30 ID:wGTtucvj0 ?2BP(2000)

 8月31日。宿題、手つかず。

 もう、いい。
 宿題なんて小学生のころから9月1日に出した覚えがない。高校生になったから少し
がんばろうなんていう考えがダメ。典型的な失敗。今までできなかった人間がいきなり
できるはずがなく。俺は朝の段階から総てを破棄した。
 とにかく、あの悪鬼を妹と二人にさせるなんてことがダメだ。

 そうして、俺の夏休み最終日はゆっくりと終わっていった。

                                Failure. Return to that day.
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Comment

 

最後ぐだぐだ
タラヲシネ
  • posted by  
  • URL 
  • 2009.08/10 12:31分 
  • [Edit]

 

面白くなりそうだったのに寝オチなのか途中で落ちてて残念
  • posted by  
  • URL 
  • 2009.08/10 19:33分 
  • [Edit]

 

ネタとして割り切ってたけどここまでするとさすがに酷い
タラオくたばれよ。もう

とはいえ、少し物足りない
・キョンの急な気絶
・タラオが混ざった理由
・周りの変化(ハルヒ、妹は違和感なしで古泉は異常と認識とか)
気になる。続編あります?
  • posted by  
  • URL 
  • 2009.08/10 20:28分 
  • [Edit]

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Author:笑み社 ◆myeDGGRPNQ
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