笑み社がブログを立ち上げたようです

2ちゃんねるのVIPでSSコテとして活動中の笑み社 ◆myeDGGRPNQのブログです。基本的に作品保管庫として機能していますが一日一回日記を書きます。

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出来杉くんがいじめにあっているようです

883 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 14:40:41.41 ID:1Py8HSgX0]
「出来杉って休み時間いつもねてね?」
「寝てるんじゃなくって友達がいない現実から目を背けたいんだよ。」

そんな音(こえ)が聞こえる・・・

「出来杉って雑巾の臭いしね?」
「ははは。牛乳を拭いた雑巾じゃない?」

ソンナ音(こえ)が聞こえる・・・

剛田くん
骨川くん
のびくん


そして・・・・しずかちゃん。





「僕は――――――どこで間違えてしまったの?」

884 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 14:41:06.35 ID:fgCdruNz0]
ktkr

885 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 14:44:35.67 ID:1Py8HSgX0]
僕は出来杉英才。名門私立中学「秀才学園中等部」の2年B組。
自慢じゃないが、否。少し自慢になるかもしれないけど小学生までは神童と言われていた。
しかし、そんなのは「井の中の蛙」だったんだ。

クラスで当たり前のように一番だった僕。
クラスで当たり前のように中心だった僕。
クラスに当たり前のように友達がいた僕。
クラスで――――――――――――――。


もうこんな思考は意味を成さない。




僕は、アノトキノデキスギエイサイジャナインダカラサ


886 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 14:49:27.49 ID:1Py8HSgX0]
死ね死ね死ね死ね死ね


ノートに書き染め抜かれた「死ね」の文字。
「まだ学校来れるんだ・・・」
「明日からは教科書に書こうか」
そうならないために毎日教科書は家に持ち帰っている。
重くてたまらない。

「のびくんも、毎日ランドセル持たされて辛かっただろうな・・・」

「うわっ。また独り言言ってるよ。きめぇwww」
僕は、あんな低能の相手なんてしない。
僕の友達は、しずちゃんみたいな子だけだ。

―――――否。もとよりその考えに至るのは根本的にまちがっている。
お前は、今やクラス1の。いじめられっこなんだから。

曰く、成績不能者
曰く、運動音痴
曰く、虚言者

こんな僕に、寄り付く人間なんて・・・・・

「いるはずないじゃないか・・・・・」


887 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 14:51:48.06 ID:fgCdruNz0]
もしかして人いない?

888 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 14:53:19.11 ID:1Py8HSgX0]
初めはよかった。
顔も悪い方じゃないし。
けっこう明るい性格だったから、人並みに友達はできた。

ただ、能力の違いを思いしらされたのは五月。
そう、のびくんなら憂鬱になり、剛田くんや骨川くんがのびくんをからかう。
体力測定だ。

いくら走っても差が埋まらない。
いくら頑張っても報われないジレンマ。
小学生のときには決して味わえなかった挫折。
それらが僕を襲う。

その次は中間テストだ。
自分は体力よりも頭の方が自信あったし、負けるはずないと、信じていた。
しかし―――――

その自信すらも、「奴ら」は見事に砕いた。

クラス順位。41人中41位

あり得ない。
ありえない。
アリエナイ。

なにかが壊れた。

889 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 14:55:00.70 ID:1Py8HSgX0]
それでも・・・頑張ればなんとかなるさ。

のびくんに何度も向けたこの言葉の、本当の意味を。
僕はわかっていなかった。

まず、僕が感じたことは。
「頑張るって、なにをすることだろう?」

僕は今まで頑張ったことがなかったのだ。当たり前と言えば当たり前だ。
それでも、僕なりに頑張ってみた。

そんな時、クラスの中心である「意地目抜男(いじめぬきお)」が言った。

「出来杉ってキモくね?」

皆の蔑みの目が僕に向けられる。

時に虚言は真実を超越する。
そして、虚言は現実になる。

毎日のように、否。毎日繰り返されるイジメ。
辛いという「概念」すら消え去ったある日。

「あら、出来杉さん。」

かつて、自分が恋い焦がれたもの。
源静香の姿があった。

890 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 mailto:sage [2008/03/27(木) 14:55:01.93 ID:EReQHZDZ0]
仕事中だが読んでるノシ

891 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 mailto:sage [2008/03/27(木) 14:56:24.11 ID:ftaozwE10]
中学でそこそこできて高校いったら撃沈したwww
今では出身中学は4分の1が人生捨てて成績のために越境が来るほどらしい

892 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 14:56:34.47 ID:cArBTGH80]
ここに読んでる奴いるし

893 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 14:57:53.79 ID:1Py8HSgX0]
「しずちゃん・・・」
「覚えていてくれたの?うれしい!」
以前まで何度も見ていた笑顔がこんなに痛いなんて。
「そこの喫茶店でお話しましょうよ。」


小学生のときは、喫茶店なんて校則違反だった。
そのときの僕は、校則をちゃんと守るいい子だったし、別にそれを気取っている訳でもなかった。


そんな僕だったからこそ、のびくん達が羨ましかった。
毎日剛田くんに殴られては―――――に助けを請うのびくんがうらやましかった。
毎日剛田くんにおもちゃを取られては―――――に助けを請う骨川くんがうらやましかった。
毎日―――――に懲らしめられてもくじけず、自分の道を通したジャイアン。

そう、皆がうらやましかった。

そして何より。
才色兼備、いつもみんなのアイドルであり続けた。

源静香がうらやましかった。

894 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:00:43.05 ID:A/wDuykKO]
読んでるし楽しいし

895 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:00:54.43 ID:1Py8HSgX0]
「出来杉さん?」
ハッと我に返ると心配そうなしずちゃんの顔があった。
それに僕はなんでもないと、いつもの「作り笑い」で返した。

――――――何度この作り笑いを演じたんだろう

いじめが激しくなれば、当然両親も気づき始める。
その打開策としてこうじたのが作り笑いだった。
大丈夫と思わせるのは間違いだ。
「何もない」と思わせなくてはならない。
そんな笑いを作るのにひと月。
いつものように振る舞えるようになるまでまたひと月。

そんなことを繰り返せば、自我をなくしてしまうのもまさに時間の問題だ。

「ねぇ。久しぶりにのびたさん達とどこか遊びにいきましょうよ、出来杉さん、おどろくわよ?
のびたさん見たら。」
心底楽しそうに、目の前の少女は言った。
今の僕の状況を教えたら、皆が驚くだろうに。
もう誰かの体温は知りたくないと思っていたのに・・・・
「うん。喜んで、のびくんがどうなっているのかな~?」
いつもの作り笑いで、脊髄反射で返事をしてしまった。


896 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:02:15.12 ID:fgCdruNz0]
のびリア充化

897 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:02:23.86 ID:6eJzQy0I0]
リアルタイムとかマジウケルし

898 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:03:19.06 ID:6eJzQy0I0]
ぜってー静香レイプされるし
ドラえもんに言いつけるし

899 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:03:48.54 ID:1Py8HSgX0]
次の日曜日。布津鵜之遊園地(ふつうのゆうえんち)に九時集合。
結局行くことになってしまった・・・いや行きたいと言ったのは自分だが。
明日からまた学校だが、来週、遊園地に行くことを考えると不思議と胸が熱くなる。

「いいものだな。友達って・・・」

友達なんて、今の自分にそんな単語が出るなんて自分を嘲笑(わら)う。
「英才ーー。ご飯よーーー。」
食事のじかんは憂鬱だ。いつ学校の話題が出るかわからない。
「そういえば英才今度の文化祭・・」
「わーーーーっ!!!!この肉じゃがおいしいなぁ!!!」
こんなごまかし方。今時子供でもしない。
「そう?どんどん食べてね」
それが通用してしまうのが僕の母だ。今までこんなこと言わなかったから嬉しいのだろう。

僕の家庭はいわゆる母子家庭だ。父はギャンブルに明け暮れ、いつの日だったか母と僕を残して
失踪した。まあ、漫画やドラマのように、多額の借金を残した訳でもないので、それなりの暮らし
はできている。

女手一つで僕を秀才に入れてくれたのにはすごく感謝している。
だから僕はたくさん勉強して偉くなって母を楽をさせてあげたい。






「――――――まあ、そんな夢(もの)は三ヶ月前に捨てちゃったけど」


900 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:06:17.89 ID:1Py8HSgX0]
今日も辛い日が始まる。
秀才までは電車で15分。そこから徒歩で5分で到着する。
その登校時間が、僕が最も生を実感できる時間なのだ。

たとえ、持っているカバンが落書きだらけでも。
たとえ、持っている定期入れが壊されていても。
たとえ、着ている制服に無数のシミがついていても。

一人になる時間が幸せでならなかった。

秀才駅からは秀才生が多く見られる。
そこから僕の地獄はスタートする。

「なにあれ?チョーキモいんですけど」

頭の悪いコギャルの声はなれた。
頭の悪いギャル男の声はなれた。
でも。


「ママー。あのお兄ちゃんの服、変だよー」

―――この子供の声には慣れない。
急いでその声を静止する母親の行動がいたい。
その子供の目は静止されてなお「なんで?」と疑問の形を崩さない。

毎日の通学には、ナレテイタ。

901 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:09:26.97 ID:1Py8HSgX0]
学校に着くと、まずは上履きの捜索。と思うだろう。
しかし、自分は馬鹿じゃない。毎日、教科書と上履きは持ち帰っている。
荷物が重いなと思ったのは最初だけ。

―――――学校に来ること自体。気が「重い」のだから。

教室に入って最初に目に映るのは考えられる全ての嫌がらせを文字通り「集約」させた机だ。

盤面には死ねという赤い文字。
花瓶に生けてある菊の花。
机の脇には、もうカバンは提げられない状態だ。
当然、ロッカーも同じような状況だ。

「はははははは―――――、―――は」
笑うしかない。ただし、みんなに聞こえないように、見えないように。

気を取り直し、椅子に座ると、痛みが走る。
画鋲が椅子においてあった。

いつものことなのに。払うのを忘れていた。
しずちゃんとの約束が、僕によけいなことを考えさせたのかもしれない。

席に座らば突っ伏して・・・・・いつものように、寝たふりを始めた。


902 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:12:06.46 ID:A/wDuykKO]
セツナイし

903 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:13:32.49 ID:1Py8HSgX0]
学校生活でなにが辛いって。それは昼休みだろう。
秀才は私立だ。給食はない。
皆、仲の良い友人同士で机をくっつけて各々食事を楽しむ。
意地目はいつもたくさんの友人と食事をとっている。
僕は、いつものように屋上に行き。一人寂しく食事をとる。

六月の下旬になると、十分暑い。
故に、もとより、立ち入り禁止の屋上にわざわざ来るような物好きは自分だけだろう。
「実際、去年は誰も来なかった訳だしな・・・」
誰に言う訳でもなく声に出す。
そう、誰も来ないんだ。
ここは僕の場所だ。
そう心の底から思ったとき。








そんな理想郷(もの)はまやかし何だと知った。


904 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:15:17.58 ID:1Py8HSgX0]
「へぇ。意外にいいとこじゃん」
あの声は意地目の取り巻きである名栗鳥羽巣(なぐりとばす)だ。
あいつは取り巻きのなかでも一番の乱暴者で、小学生のときはガキ大将だったことを
聞いたことがある。
名栗だけじゃない。
取り巻き連中の大集合だ。
意地目も出てきた。
「出来杉がここに来てるんだって?」
「毎日ママが作ったお弁当を一人で食ってるんじゃね?」
「ママー。おいしいよーってか?」
笑い声が聞こえる。話してる内容も何となく聞こえる。

不快だ。

「英才ちゃーーん。どこでちゅかーーーーー?」

不快だ。

「あ、おーーーーーーーい。英才ちゃんここにいたぜーーーー!!!」

不快だ。

「お前は教室で食ってろ!!!!オラッッ!!」

不快・・・・・・・だ。


905 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:17:07.10 ID:fgCdruNz0]
こういうの大好きだし

906 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:18:40.19 ID:1Py8HSgX0]
目が覚めればそこはすっかり空気が冷たくなった屋上の隅だった。
漫画とかなら保健室とかで目覚めるんだろうが見つけられないのだから仕方ない。
「誰も探さなかったってこともあるんだろうけど・・・・ッ!!」
立ち上がろうとすれば全身が痛む。折れてはいないだろうが間違いなく殴られた跡がある。

「そうか―――――僕は―――――」

殴られたんだっけ。今まで肉体的ないじめはあるにはあったが、直接殴られたのは初めてだ。

「どうしよ・・・明日からどこでご飯たべよう・・・」
いっそ、トイレで食べようかななんて自分で嘲笑(わら)った。
「帰ろ・・・」
ズボンのなかがスースーするが気にする思考は残ってなかった。

下校も朝のクリカエシ・・・・


907 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:22:20.81 ID:1Py8HSgX0]
長かった一週間が終わり、約束の日曜日がやってきた。

布津鵜之遊園地は名前に似合わずなかなかの規模を誇るテーマパークだ。
約束の三十分前に到着できたし、今日は小学生のときの「出来杉英才」に戻ろう。

「よう出来杉!」
声がした方を見ると、最後に会ったときよりもさらに大柄になった剛田剛。いわゆるジャイアンの
姿があった。
「上から読んでも下から読んでも同じなんだ」
小声でふと思ったことを口にする。
「久しぶりだな出来杉!」
後ろには骨川くんもいた。前よりも口がシャープに尖っている気がする。彼なりの気合いの
パロメータなんだろう。

約束の九時になったがまだ二人が来ない。
遅いなあいつらと怒るジャイアンを宥める。
「僕ってこんな人だったんだ・・・」
今あらためて実感した。


「おーーい!!!ジャイアン!スネ夫!!出来杉くん!!!」

ついに、「彼」がやってきた。


908 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:24:46.06 ID:1Py8HSgX0]
「――――のびたさんあったら驚くわよ」
あの日、彼女は言った。

しかし、彼、野比のびたは僕が想像していたよりも、変わっていなかった。
いや、確かに背が伸び、ジャイアンと同じぐらいの長身になっていたのは驚きだが。
「ごめんなさい。電車が遅れちゃって・・・」
しずちゃんが申し訳なさそうに詫びる。
「いいんだよ。電車が遅れたんじゃ仕方ないさ」
完全女性専用のフェニミストぶりを発揮したスネ夫を先頭に遊園地に入った。

のびくんが変わった。それを実感したのはもう少し後だった。


909 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:25:13.29 ID:A/wDuykKO]
のびたキタ━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━!

910 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:25:39.39 ID:fgCdruNz0]
盛り上がってきたし

911 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:28:39.33 ID:1Py8HSgX0]
「アイス買ってきたぜーーー」
ジャイアンと僕が人数分(某肥満児が俺の一人分は三人分だと変わらぬ暴虐無人ぶりを発揮したが)
これまで、ジェットコースターやメリーゴーランドに乗り、少し休憩がてらアイスでも食べようと
僕が言い出したのだ。
「学校じゃ誰も想像できないよな・・・」
それもそうだ。秀才学園の出来杉英才はいじめられっこであり、リーダーにはなれないのだ。

「次はお化け屋敷に入ろうよ。」

僕が知ってるのびくんなら絶対に言わないであろうトンデモナイことを言い出した。
そういえば、学区が違うからのびくんと骨川くん、ジャイアンは違う中学なのだ。
「のろまののびたがお化け屋敷ィ?」
案の定、二人は驚いている。しずちゃんはさすが同じ学校なだけに驚かない。

ここのお化け屋敷は理不尽なまでに怖いと有名だ。
何が怖いって屋敷が築120年なのだ。関東大震災を耐え抜いたのだ。
姉歯住宅もびっくりの耐震強度だ。

「わかった。のびたがそこまで言うならいいぜ。いってやるよ」

さすがジャイアン、漢らしい。

のびくんの恐ろしさはここで味わった・・・


912 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:30:35.86 ID:1Py8HSgX0]
お化け屋敷には2:3の人数配分で入ることにした。
まず僕としずちゃん、それにのびくんが入る。

まず驚きなのはその暗さだ。本当にここは日本かと思ってしまうぐらい暗い。

シュッ

なにかが頬をかすめていった。
よくみると、カッターナイフだった。

冗談じゃない。客を殺す気か?
「あぶなかった。大丈夫だった?二人とも」
カッターが飛ばすなんてどこのカービィだ。そんなことを思いながら二人に聞いた。

無論見えないが。

「出来杉くん。このカッターの飛んでくる方向を見れば絶対に当たらないよ」
たしかに正論だ。どんな速球であろうが投手から投げてくると分かっていれば、バットに当てるな
んて考えなければ避けられぬ道理はない。
しかし、のびくんの言っていることには一つ。決定的と言える点がある。


「そもそもどこから飛んでくるかも見えないんだけど・・・・・」


913 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:30:46.88 ID:fgCdruNz0]
こういう平凡な作品がどんどん壊れてくの大好きだし

914 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:33:30.23 ID:1Py8HSgX0]
とにかく前に進む。
進む。
―――――――。

「なんで終わらないの・・・・」
いくら何でももう30分歩いてる。
暗いだけでたまになにか凶器じみたものが飛んできては避ける。これの繰り返しだ。
暗さもけっこう慣れてきては避けるのも簡単だ。
「のびくんは目が慣れやすいんだな」
先刻の不安を無理矢理はねのけ、進んだが全く進んでる感じがしない。

「もしかしてこれって・・・・」
「うん。樹海と同じだね」
しずちゃんとのびくんが話をしてる。
ひそひそ話は嫌いだ。
「なに話してるの?」
たまらず聞いた。
「出来杉くんは森に入ったことある?ぼくはあるよ。森で迷っちゃったって時、君ならどうする?」
おかしなことを聞いてくる。森に入ったことはないが僕の答えを述べてみる。
「目的地を見つけるかな」
「確かにそれはいい考えだね。でも、辺り一面森では目的地も見えない。だから遭難してしまう
のさ。しかも周りはずっと同じような景色。まっすぐ行っているように思えて実は違う。」
こんなふうに話すのは前まで僕の役割だったのに・・・
「本当はそこらをぐるぐる回っているってこと?」
少し悔しいが聞いてみる
「正解!このお化け屋敷はその現象をうまく利用してる。周りは真っ暗。同じ景色。
まさに樹海だ。だから・・・」
「だから?」
「横道があるのさ。ほら、あった。」
のびくんは、知能の面で僕を超越した

915 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:36:15.75 ID:6eJzQy0I0]
そんなお化け屋敷あるわけねーし
大概にしとけし

916 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:36:20.03 ID:1Py8HSgX0]
「のびくん・・・」
「ん?どうしたの?」
お化け屋敷から出てきて、のびくんを呼んだ。
もしかしたら、のびくんなら。
僕を

僕を


僕を










タスケテクレルカモシレナイ 。

917 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:38:52.32 ID:6eJzQy0I0]
ドラえもんレギュラー陣はまともなのが救いだな

918 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:39:44.50 ID:1Py8HSgX0]
「どうしたの?出来杉くん」
あのね。僕を助けて。
言えない

お願い。僕を助けて。
言えるはずない

頼むから、辛いよ。
言っちゃいけない

「出来杉くん?」


お化け屋敷みたいに真っ暗になって、なにかが落ちた音がした。


919 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:44:03.58 ID:1Py8HSgX0]
目が覚めれば病室だった。
屋上じゃないことが安心した。
「英才?大丈夫?」
母の声がする。
大丈夫と答える。
「よかった。いきなり倒れたなんて心配したわよ。」

聞けば、のびくんが救急車と母を呼んでくれたらしい。
救急車がくるまでの応急処置も完璧だったそうだ。
母と医師に事情を説明した後、すぐに帰ってしまったそうだ。
「お礼言えなかったな・・・」
僕の症状はというと、倒れた際、頭を打っているから精密検査のため1週間ほどの入院だそうだ。
あまり実感がわかないが、1週間学校に行かなくてもいいのはとてもうれしい。

たまには羽を伸ばしてグラップラー刃牙とバキ、それに範馬刃牙を一気読みしようと思った。
「バキのキャラって、脇毛はえてないよな・・・・」


920 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:47:01.09 ID:1Py8HSgX0]
「こんなに暇(たのしい)一週間はひさしぶりだなぁ」
しかし、一度楽しい味を知ってしまうと、さらにを求めてしまうのが人間というものだ。
「僕って、今まで彼女ができたことないな」
小学生でも付き合ってる奴は何人かいた。
小学生の場合、女子のほうがませているから告白もかなりの数を受けた。
当時は性欲だとか、そんなものを感じたことはなかったし、なにより彼女なんて、
まだまだ自分には速すぎると思ったのもある。
しかし、今は健常な中学2年生。人並みに自慰行為にだって及ぶ。
そんな少年にとって、一週間も我慢するには僕は些か若すぎた。

「やらせてくれる女いないかな・・・」
今までの自分は、こんなことを考えるはずがなかった。
やはり、いじめのストレスが僕をそうさせたのだろうか。
もしくは、頭をうったことが原因なのか・・・・


僕は、病棟を歩き始めた・・・・

921 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:49:19.04 ID:1Py8HSgX0]
イライラする。
やらせてくれる女どころか。
「女の形をした化けもんばっか・・・・」

その後、僕はトイレでしずちゃんをおかずに抜いた。
冷静になった気がした。


922 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:50:50.28 ID:9uitVp+z0]
出来杉コワレタw

923 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 mailto:sage [2008/03/27(木) 15:51:11.87 ID:K1ELZPiI0]
やっとおいついたし

924 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:51:25.13 ID:1Py8HSgX0]
検査の結果、異常なしということらしいので、また地獄に放り込まれることになった。

一週間ぶりに学校に来たが、何も変わってなかった。

死ね死ね死ね死ね

皆が言ってる

トイレでご飯を食べる。

おいしい。

僕の机はゴミ箱

否。

僕自身がゴミ箱扱い

「皆静かに。転校生の――――――」

何も聞こえない・・・・・
寝たふりの続き・・・・

「野比のびたくんだ。皆、仲良くしてやってな」


――――視界が一気にクリアになった


925 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 15:52:07.86 ID:9uitVp+z0]
のびかっこいいしww

926 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:54:38.90 ID:1Py8HSgX0]

のびくんはあっという間にクラスに馴染んだ。
のびくんの頭の良さとこのクラスの雰囲気がジョースター家の血とDIO並みにマッチしたんだろう。

当然、僕がいじめられているのものびくんに知られるはめになった。
それでものびくんは、友達と言ってくれた。
涙がでそうになった。

そういえば、いじめも軽くなった。というより、殆どなくなった。

「のびくんのおかげかな?」





何にも知らない僕は―――――
安心した顔で言った。


927 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 15:57:22.70 ID:1Py8HSgX0]
意地目が死んだ。


そのニュースを聞いたのは、朝のおはよう日本でだ。
自室の椅子に座って、まるで眠っているように死んだそうだ。

その日から、クラスの中心はのびくんになった。
僕への日当りも良くなってきた。
期末テストでも39人中12位と、成績が上がった。

「39人?おかしいな・・・・・」
確かこのクラスは41人。意地目が死んでも――――――

名栗も死んだんだ・・・・
名栗はもともとやばい仕事を手伝っていたらしく、そのトラブルに巻き込まれ、殺された。
誰が殺したのかは明らかになっていない。

「のびくんが一番かぁ。」
当然のように思っていたが、やはりこの変わりようはおかしい。
確かにもともとセンスはあった。しかしこれは常軌を逸脱している。

「―――――の道具で―――――」
そんな声を思い出した。


928 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:01:24.52 ID:1Py8HSgX0]
そういえば、かすかに覚えている。
もしもボックスという道具を覚えている。
「もしも~~だったら」という願望を具現化できる一種の「空想具現化(マーブルファンタズム)」

「それを使っているとしたら・・・・」
根拠はない。単にのびくんが頑張った結果なのかもしれない。
まずは確かめよう。


「ねえ、のびくん。もしもボックスって知ってる?」

929 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:03:21.07 ID:1Py8HSgX0]
―――――聞かなきゃ良かった
後悔先たたず。まさにそれを象徴するような出来事が起きた。

「のびくん。もしもボックスって知ってる?」
「知ってるよ。」
「もしかしてのびくん・・・・」
真っ暗になった。何かが落ちる音がした。
―――――この感覚を前に味わった気がする。

―――――聞かなきゃよかった。

今、僕はのびくんの家にある古いベッドに縛り付けられている。
誰が、どうやったのかはもう知っている。

目の前にいる。
人形のような。

―――――意地目と名栗だ。

「死んだんじゃなかったの?」

答えない。
答えられないんだ。
もう、彼らは「人形」何だから。

「やっとお目覚め?まったく、のろまだなあ」


―――――アクマの声がした 。

930 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:05:06.00 ID:6eJzQy0I0]
もしも出木杉と野比の立場が逆だったら、ってことか

931 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:05:56.29 ID:EReQHZDZ0]
のびたこえーよ・・・

932 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:06:18.01 ID:1Py8HSgX0]
「野比―――――のびた――――」
「おはよう。という時間じゃあないかな?もう午前二時だしさ」
長い時間眠っていたみたいだ。
「まったく、気づくの速すぎるよ。さすが『元』神童君かな」
元の部分をやけに強調するのが気に食わない。
「だとするとやっぱり・・・・・」
「もしもボックス?ああ、その話か。言っとくけど、もしもボックスは使ってないよ」
嘘だ。
「本当さ」
「!?」
驚きを隠せない。当然だ、野比のびたは今。

―――――心を読んだ。


933 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:07:13.80 ID:9uitVp+z0]
やべwこの展開かなりおもしろしwww

934 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:09:25.64 ID:cElXsj7VO]
懐かしいなぁww

935 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:09:38.39 ID:1Py8HSgX0]
「心を読む、だと?」
思わず聞き返す、信じられない。

そんな事ができるのは―――――の道具だけじゃないのか。
それを、この少年(アクマ)が出来る筈が――――

「―――あ。」

唖然とした。
驚愕した。
そして――――

呆然した。


そう、少年(アクマ)の手に握られていたのは。

白い、ポケットのような袋だったのだから。

936 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:12:20.89 ID:1Py8HSgX0]
「わかった?納得した?」
自慢げな面持ちで少年(アクマ)は近づく。

「―――、――――――」
声も出ない。

それも道理であろう。
目の前にいる者を人間として扱う事が出来ないのだ。
猛獣を前にした人間が。
蛇を前にしたカエルが。
動けなくなるのは自明の理と言えよう。

故に、この男には僕は対峙できない。
決して対等にはなれない。

なのになぜだろう――――

「――――それを、君がどうして持っている。」

この問いだけは、何よりもはっきりと言えたのは。


937 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:13:23.31 ID:9uitVp+z0]
どらえもんwwwwのびにwwwwwぶっころwwwwww

938 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:13:29.95 ID:NXwCf72XO]
wktk

939 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:14:50.13 ID:OinoREPKO]
銅鑼柄門死亡

940 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:15:29.91 ID:1Py8HSgX0]
「――――、―――」
アクマが驚いている。
その表情からするに、この拘束もなんらかの道具の効果であろう。

それが解ったなら安心した。
毒ガスか何かを吸わされていれば、動けないどころか命に関わる。
だが、道具が相手ならば勝機も残されている。

「どうしたのかな?答えられないかな?」
アクマを挑発する。
成る可くならギリギリまで怒れ。
隙さえあれば、そこに付け入る事も出来る。

「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
ははははははははは――――」

気でも触れたかというほどの笑い声が響く。否。気なんてとっくに狂っていた。

「バカだね!出来杉くん!!君は非常に馬鹿だ!!!」

笑い声が強くなる。
嗤い声が強くなる。

まったく、厭になる。

「あのね、出来杉くん。長く話すのは面倒だから、一つだけ教えてあげる。」
唇の前に指を立て言う。

「―――――――ドラえもんは、僕が殺した」


941 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:18:35.38 ID:1Py8HSgX0]
「君が、ドラえもんを殺せる筈がない」
この少年は誰よりも『彼』を愛していた。
そんな少年が、『彼』を殺せる筈がない。

「いつまで情にほだかされているんだか・・・・」
心底あきれたようにため息をつく。
そのため息が、とてつもなく不快だった。

「あのね。僕がドラえもんを殺せないなんて誰が決めたのさ。」
「それは・・・・」
確かにそうだ。
彼を殺すなんてそれなりの力があれば難しい事ではない。
しかし、ロボットの抵抗する力は半端じゃない。
完璧な奇襲か、完全に信頼した相手じゃないとそれに至るのはつまるところ難しい。

「信頼――――――はっ!!」
気づいた。
最悪だ。

コイツは。
このアクマは。
そのポケットを手に入れるために――――

「ドラえもんと仲良くしただけだったってことか――――」


942 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:19:52.37 ID:9uitVp+z0]
のび 最低だし

943 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:20:52.28 ID:NXwCf72XO]
のびたKoEEEEEEEEE!!

944 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:21:06.37 ID:A/wDuykKO]
うわぁ だし

945 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:21:34.16 ID:1Py8HSgX0]
「大丈夫か出来杉!?」
声が聞こえる。
「僕らが来たからにはもう大丈夫だ。」
懐かしい声が―――――

「ジャイ・・アン?骨川くん?」
大きな後ろ姿と、拘束が外れた僕を支える姿があった。

「まさか・・・・君らが来るなんてね。地下牢に閉じ込めた筈だが・・・・」
殴られた部分をさすりながら立ち上がるアクマ。

「のびたさん・・・・もう・・・・やめて・・・」
怯えながら、否。泣きながら少女が出てくる。
「君か・・・・成る程ここを君に教えるべきじゃあなかったな」
「もう終わりだのびた!!大人しくタイムパトロールに自首しろ!!」
強い口調でジャイアンが言う。その声は震えていた。
そうだと同意する骨川くんも震えている。

二人とも、本当は怖いのだ。
なのに、こんな僕のために体を張ってくれる。


――――それがどんなに素晴らしい事だと思った。


946 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:24:12.87 ID:9uitVp+z0]
友情パワーww

947 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:24:17.59 ID:1Py8HSgX0]
「人が増えたのは面倒だが、殺す手間は同じ。皆死んじゃえ」
アクマは眉一つ動かさず、仕掛け部屋のスイッチを押す。
「家を作り替える道具か!?」
スネ夫の叫びと同時に四方より刃物が襲う。

「――――えもん!!」
声が漏れる。

「―――えもん!!」
涙は枯れている。

「―――ラえもん!!」
だから、言える。この名前を――――


”―――――助けて、ドラえもん!!”


948 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:26:19.36 ID:1Py8HSgX0]
”――――ヒラリマント”

そんな声と共に、刃物の進行方向は逆になった。
例えるならそれは滝を逆行する鯉のように美しい。

「ドラ・・・えもん?」
アクマの顔が歪む、まさかと言った表情だ。
しかし、僕らの目の前に居る姿は『彼』のものじゃあない。

僕自身、聞いていたが見た事のない者だった。

ドラえもんより2回りほど小さな体。
頭にはかわいらしいリボン。
そして、黄金のボディを持った耳のある純正の猫型ロボット。

ドラミの姿があった。


949 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:26:40.92 ID:1Py8HSgX0]
「怪我は?」
振り返らず、僕らに聞く。
「いや、おかげさまで。」
スネ夫が答える。
スネ夫の目には涙が浮かんでいる。
ここからでは見えないがジャイアンも同じなのだろう。

「ありがとう、目が覚めた。どうやら僕は惚けているようだ。
まさか、君をあのドラえもん(ガラクタ)と間違えるなんてね。」
「面倒だから用件だけ言うわ。貴方を逮捕する。」
感情がない。否。押し殺した声でドラミが言う。
「ま、やるっていうんなら相手になるけど、いいのかな?後ろの子供も巻き添えにして。」

大丈夫。巻き添えになんてなるもんか。
ヒラリマントさえあれば、僕らに攻撃は届かない。

「確かに、このままだと生きて帰れる人はいないわね」

なにか、ドラミちゃんは意味深なことを言った。

950 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:27:00.89 ID:1Py8HSgX0]
「なんだ、知ってたんだ。つまらないな。」
アクマも意味深なことを言う。

「ねえ、どういうこと?」
気になって、ドラミちゃんに聞く。
「私たちが時間犯罪者を捕まえるのに使う道具は全部使い捨てな上、数も少ないの。」

確かに、それは頷ける。
時間犯罪者とは、未来の世界に著しい影響を与えた未来人または未来を熟知した者。
しかし、タイムパトロールがこれらの者を捕まえるのに多くの道具を使ってしまっては本末転倒だ
故に、ドラミちゃんが言ったように、条件付きの道具が支給されるのは必然だ。

「皆さん理解できたようだから、そろそろ殺し合おうか。」

アクマの両手が挙がる。

「Machine-gunning together(一斉掃射)」

951 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:27:16.97 ID:1Py8HSgX0]
――――なにか、空気の塊じみたものが僕ら目がけて束になって飛んでくる。

それをドラミちゃんが神速の疾さを持って止める。
もう防具になる道具は残っていないのだろう。
移動手段である『どこでもドア』を防御にまわしている。

「空気ピストルの素・・・・ね。」

―――――空気ピストルの素。

それは指に塗るだけで完成する簡易的な空気砲だ。
「バン」と叫べば空気銃は発動する。
しかし、その弾丸は空気砲のように無制限なわけではない。
両手五指に塗るならば一本の指に各一発ずつ。
故に手ならば10発限定の弾丸。

それを言葉通り一斉掃射してきたのだ。
盾にしたどこでもドアも凹凸だらけになるほどの威力があるのは道理だろう。

「もう、移動用には使えないか・・・・でも、盾にはなるわね。」
「無駄だね。次は集中掃射。そのドアごと破壊する。」

アクマの両手が再び挙がる。

「―――避けるのならばそれでいい。だが、後ろの奴らは諦めろ。」

「Concentrated machine-gunning(集中掃射)”」


952 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:27:32.69 ID:1Py8HSgX0]
――――ああ。

なにがあったんだ。
解らない。
判らない。
分らない。

――――それは、一瞬の出来事だった。

それぞれが弾丸じみた一撃は、何かによって止められた。
その道具が何か、それは僕には分らない。
ただ、時を止めていたかのようなドラミちゃんの動き。
僕らはそれに助けられた。

弾丸を一身に受けたドラミちゃんは、じきに動かなくなった。
分らない。
解らない。
判らない。

只、もとより冷たかった機械の手が――――


――――さらに冷たくなるのが、どうしようもなく哀しく。許せなかった。


――――ああ。

なにかが、はじけた。


953 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:27:49.31 ID:1Py8HSgX0]
気がつけば、僕はアクマに肉薄し、力一杯殴りつけていた。

許さない。
赦さない。

怒りよりも狂気を込めた拳がアクマに二十余炸裂する。
このまま修羅になれば、この悲しみも苦しみも消えるのだろうか。

「―――――、――――」

殴りつけている拳から滴る血の量が危なくなったのか、意識がぐらつく。

「ふふ・・・・」
アクマがこの期に及んでまだ嗤う。
そして、それはなぜだろうか。

「駄目じゃないか。ちゃんと相手を見て殴らないと。」

虚空より声がし、自らの腕を握られ、拳を止められたのは。


954 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:28:03.55 ID:1Py8HSgX0]
「僕は全ての道具を使うって言ったろ?君が殴っていたのは只の壁さ。」

嘘だ。
アクマは平然とした顔で話す。
「ま。君のその覚悟は買うけど。まだまだ、足りないな。」
「あ・・・あ・・・」

―――なぜだ。
なぜ、僕は道具を使う可能性を考えなかった。
以前の僕なら。
以前の僕ならば防げた事態じゃないか。

悔しい。
口惜しい。

「所詮劣化した存在。近づく事は出来ても、並ぶ事はない・・・・・か。」
つまらなそうな顔で右手をかざす。

「させるかああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

ひときわ大きい体がアクマをはね飛ばす。

そうだ。
僕には仲間が居る。
僕には友達が居る。

――――負けはしない。

955 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:28:18.18 ID:1Py8HSgX0]
「出来杉!!俺がしばらくの間あいつを食い止める!!だから、その間に考えてくれ!!!
あいつを!のびたを倒す方法を!!」
「無理だよ!!僕には、そんな大層な事考えられない・・・」
「無理でもやるんだ!!お前は俺たちの中で一番頭がいい。思い出せ、小学生の時、お前はいつも
100点で、皆に好かれて、そして何より優しかったじゃねえか!!」
「それは昔の僕だ!!今の僕は――――」
クラスのいじめられっこだ。そう続けようとしたとき――――

「そんなことはどうでもいい!!お前は!お前は出来杉英才だ!!そのお前に、出来ない事が
あるなんて、俺は信じたくない!!だから頼む!!のびたを!!俺たちの友達を助けてくれ!!」

――――その言葉が、妙に体に駆け巡った。

「――――解った。考えるよ、僕に5分くれ。必ず答えを導きだす。」

―――僕の仲間が頷いた。


956 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:28:32.79 ID:1Py8HSgX0]
目をつぶる。
こうすると頭がよく働く。

深呼吸する。
こうすると頭に酸素がいく。

考えろ。
考えろ。
考えろ。

目の前ではジャイアンと骨川くんが必死にアクマを止めている。
鈍い音が幾つも聞こえる。
痛いだろうな。
僕が受けてきたいじめなんて、どんなに小さい事だろうと思った。

でも今は。
五感全てを思考に集約する。

駆け巡ってくる記憶も破棄し――――

思考を遮る想いすら破棄する――――

結果を求めず。
ただ、信じた道を往く。

「なんだ!それだけのことじゃないか!!」

全ての思考を今、言葉にのせる。
「皆!!今解った!!のびくんが変わった理由が!!」
さあ、最期の戦いだ。

957 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:28:46.26 ID:1Py8HSgX0]
――――のびくんが急に変わったのは他でもない。道具の力だ。

「それも、自分の身近にいる人間の才能を奪う道具。」

これならば始末が悪い。
そんな人間の長所を模倣すれば。
必ず、その者の短所も模倣することになるのだから―――――

しかし、模倣されている人間が誰か、今からそれを確かめる。

「のびくん。君は、ゲームが好きかい?」
質問をしてみる。
「嫌いさ、どのゲームも簡単すぎる。」
「そうか、ならば二つめ。君の夢は?否。嘗ての夢は?」
この質問が、アノ答えならば―――

仮定は確信に変わる。

958 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:28:58.75 ID:1Py8HSgX0]
「――――そうだね。火星や月を探検したいかな。」

今、仮定は確信に変わった。


「成る程。君が模倣した者は、小学生の出来杉英才か!?」

そうなれば、あとは簡単だ。
嘗ての出来杉英才が――――

死ぬほど苦手だった。アレをぶつければ―――――

「やかましいな。こいつら・・・・」
いよいよ腹が立ったのか、アクマは二人に向かって手をかざす

959 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [2008/03/27(木) 16:29:10.92 ID:9uitVp+z0]
トゥギャザーしよう し

960 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:29:17.63 ID:1Py8HSgX0]
「やめて・・・・」
何かに抱きつかれたのか、アクマがぐらつく。

それが功を成し、二人は凶弾に倒れずにすんだ。

「――――お前・・・・は。」
アクマが仰天する。
当然だ。
自らに抱きついてきたのは他でもない、先刻まで震えて動けなかった源静香なのだ。
「やめて・・・・」

まさか、彼女が自ら動いてくれるとは――――

小学生の時、僕は彼女を泣かせたくなかった。
何よりも大切に思っていたし。
何よりも幸せになってほしい。

だから、僕は昔から君を笑顔にするために行動した。

人間の長所はつまるところあと付けだ。
良い所は生まれて、生きていく上で出来ていく。
故に、性格のいいという長所は変えられる。

しかし、それに対し短所は備え付け。
生まれる前から決まっている性。
故に、この部分は変えられない。

――――だから、出来杉英才を模倣したのびくんは、僕の長所であり短所でもあった。

『優しさ』に身を滅ぼしたんだ。

961 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:29:35.54 ID:1Py8HSgX0]
「体が・・・・動かない・・・・」

これだけの道具だ。
恐らく、模倣した者の短所をつかれるとキャンセルされるのだろう。
それも、長時間、強力に模倣したのだ。
体への反動は半端じゃない。

「――――まさか、君に止められるなんてね・・・・・」

それは僕に言っているのだろうか。
かける言葉なんてない。
でも、今ののびくんは、アクマではなくて――――

―――間違いなく、野比のび太だった。

「そろそろタイムパトロールが来る。君もそこで反省し、更正してくれ。」

情けを見せず、言い放つ。
「――――困ったな・・・・」
何に困ったのかと問う。
「いや、くだらない事だよ、いや、くだらなくなんてないかな。」



「―――――しずちゃんのこと、頼んだよ。」

そんな、バカな事を、僕に告げた。

信じるように。

962 名前:笑み社 ◆myeDGGRPNQ [2008/03/27(木) 16:29:52.25 ID:1Py8HSgX0]
――――この『野比のび太時間犯罪事件』は、これで一先ず幕を下ろす。

タイムパトロールが到着してからは、全てがあっという間だった。
連行されていくのびくんを見て、僕ら皆が涙を流した。
そして、のびくんは僕らに一つだけ言った。


「――――ありがとう」と。

皆が自分たちの生活に戻っていく。

僕も、嘗て地獄とも思えた場所に帰っていく。

僕が変わったのか、周りが変わったのか。
いじめはなくなった。

「――――なあ、出来杉。なにしてんだよ。昼飯行こうぜ」
「ん。ああ、アレ見てたんだ。」
指を指す先には大きな雲。
「アレがどうした?」
「なんでもない。じゃ。お昼行こうか。」

空には青と白のハーモニー。
気持ちのいい風が肌に当たる。

――――ああ。もうすぐ春なんだな。

出 来 杉 く ん が い じ め に あ っ て い る よ う で す
                             F I N
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心理描写が上手いよな……。引き込まれる………。
  • posted by 名無氏 
  • URL 
  • 2009.02/26 19:59分 
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  •  
  • 2009.03/22 18:27分 
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